「笑顔になれる、高齢者向け音楽レクリエーション」の組み立て方(3月編)
昨日は、認知症高齢者の介護施設で、春の音楽レクリエーションを実施しました。
音楽レクリエーションのプログラムや組み立て方を考えるのって、手間もかかるし大変ですよね。
そんな手間のかかる音楽レクリエーションの組み立て方も、すぐに解決できる方法があります。
昨日実施した、3月の音楽レクリエーションを題材に、プログラムの組み立て方の一例をご紹介します。
季節の行事にちなんだ歌を組み入れる
音楽レクリエーションを実施する月や季節の行事に関する歌をプログラムに入れます。
3月の代表的な行事は、月初の「ひなまつり」と、月末の「卒業式」。
それらの行事にちなんで、「うれしいひなまつり」の歌で始まり、「仰げば尊し」を歌って終わるようにしました。
行事の生い立ち・背景を紹介する
みんなで歌詞を追いながら歌うだけではなく、その行事の背景に触れることで、新しい発見があったり、より興味を持ちながら歌うことが出来ます。
「うれしいひなまつり」を歌う前に、ひなまつりがもともとは中国から伝わった「上巳(じょうし)の節句」と呼ばれる男女共通の行事であったことや、「桃の節句」と呼ばれるようになったいきさつなどをご紹介しました。
ひなまつりの生い立ちについてご紹介すると、入居者の方々もご家族の方々も、一様に「へぇー」と驚かれ、興味を持って頂けました。
そして、ひなまつりに食べるものを皆さんに挙げてもらったり、写真を見て言い当ててもらったりして、ひなまつりにまつわる記憶を思い起こして頂きました。
行事の背景や食べ物に思いを馳せながら歌うことで、より歌を楽しんで頂けると同時に、脳の活性化にも繋がります。
(詳しくは、以前に掲載したコラム 「ひな祭り」、もともとは男女共通の行事だった!? をお読みください。)
季節を感じられるイラストや写真で視覚から脳を刺激する。脳を活性化し、脳トレに繋げる。
「うれしいひなまつり」と「仰げば尊し」の間には、春を感じられる歌を組み入れました。
今回は、「春が来た」、「花」、「春の小川」、「さくら」です。
「春の小川」の歌詞の中には、植物の「すみれ」、「れんげ」が登場します。
そこで「春の小川」を歌う前に、春の植物の名前を思い出して頂き、挙げて頂きました。
植物の名前が挙がらなくなってきたら、あらかじめ用意した植物のイラストや写真を見て頂き、その名前を言っていただくようにしました。「菜の花」「つくし」「ふきのとう」「たんぽぽ」 、そして最後に「すみれ」「れんげ」。
視覚から脳に刺激を与える→イラストを正しく認識する → 記憶から正しい植物の名前を引き出す → 正しい植物名を声で発する・・・・という流れで脳を活性化して、簡単な脳トレを行って頂きました。
歌うことで長期記憶を刺激して、歌と結びついた遠い記憶を呼び起こす
今では全く思い出すこともなく、記憶の奥底に埋まってしまった思い出たち。
最後の「仰げば尊し」は誰もが学生時代に歌った曲です。
1番から3番まで通しで歌い終えると、長い間思い出さなかった学生時代の記憶が蘇ってきたという方々がいらっしゃいました。
学校のこと、友達のこと、勉強のこと、親のこと。
これは、「仰げば尊し」の歌と結びついていた遠い記憶が、この歌を歌うことで脳の神経回路が刺激されて、思い起こさせたことによります。
思い出された記憶を皆さんにお話しいただいたり、ご家族の中でお話しされたりしていました。
入居者の中には学校の先生をしていた方もいらっしゃり、その方は卒業していった生徒たちの顔を1人1人思い出されたそうです。
今回の音楽レクリエーションを通して、音楽を用いた脳トレをしたり、歌と結びついた長期記憶を思い出したりして頂きました。
音楽の力で、楽しく笑顔になって頂くことが出来ました。
いかがでしたか。
今回は、「笑顔になれる、高齢者向け音楽レクリエーションの組み立て方」についてご紹介いたしました。 これで、めんどうな音楽レクリエーションのプログラム作成も解決することができます。 ぜひ、参考にしてみてくださいね。