認知症の高齢者の記憶を呼び起こす音楽
朝の10時。夜勤明けで睡魔に襲われそうな時間。
入居者の方々と音楽を楽しみたいと、ギターを取り出して音程を調整し始めると、居室から1人、また1人、と入居者の方々が集まってきます。
「いつ歌が始まるのかと思って、心待ちにして待っていたのよ。」
とても嬉しい言葉です♪
ギター伴奏に合わせて、皆さんで何曲か歌いました。 中でも、「瀬戸の花嫁」が、一番想い出深い曲だったようでした。
1人のお婆さんは、自分の娘を遠い島に嫁に出した事が思い出され、歌う度に涙が出てしまうそうです。
別のお婆さんは、自分が嫁いで行く時にさようならを告げたお父さん、お母さんの事を思い出し、歌いながら涙がこみ上げてくるそうです。
昔に体験した記憶(=長期記憶)と音楽が結びついて、忘れていた長期記憶を呼び起こして、大切な人や、大切なことを思い出すことがあります。
認知症の方々が音楽を通して、遠い記憶の一部でも思い出すきっかけとなれれば良いと思っています。